福島達也理事長コラム
第92号 監査って何するの?
 3月決算も終わり、今頃は総会の準備をしている法人も多いことだろう。でもその前にやることがある。それが監事の監査だ。

 NPO法人の監査は結構いい加減にやっている団体が多い。法で、監事は、理事の業務執行の状況、財産の状況を監査し、監査の結果、不正の行為又は法令や定款違反を発見したら、これを総会又は所轄庁に報告し、必要がある場合には、総会を招集することになっている。

 でも、実際は不正を見抜ける監事はほとんどいないという状況だ。それはなぜか?

 それは、監事といっても、仲間がやっているからだろう。法で、監事は理事や職員を兼務してはいけないことになっているが、実際はスタッフの一人が監事になっていたりすることが多い。または名前だけ監事で、実際は法人の活動を全く知らないということも。つまり両極端なのだ。本来はその中間、活動は良く知っているが、スタッフではない存在。そういう人が監事に相応しいのだが、なかなか適任者がいないようだ。

 重要なことは、理事の業務執行の状況や財産の状況について、ビシビシ理事に意見を述べることができるお目付役の立場で、理事よりも上から目線が好ましい。決して理事に遠慮することなく、事業仕分け人のごとく、「事業の廃止や縮小」「無駄遣いの撲滅」に徹底的に切り込んで欲しい。

 ただ、無償でそこまでできないという声も聞かれる。そうなのだ、ほとんどのNPOの監事は無償で交通費も支払われていない。それでは仕事をする気にもなれないはずだ。

 そこで提言だが、監事にはちゃんと報酬を払おう。役員総数の3分の1まで報酬は払うことができるが、理事に支払っていても監事に支払わないことが多い。しかし、理事であれば、働けば「報酬」ではなく「給料」として何人でも支払うことができるのだから、報酬は監事のために使おう。

 まあ、月給制は難しいだろうから、せめて監査のときには日当を出して、1週間くらい監査してもらうとよいだろう。ただし、理事は痛いところをつつかれたくないので消極的になるだろうから、この要望は会員から出すとよい。総会ではぜひ監事の報酬を提案して欲しい。

 コスト削減にやっきになっている法人には、耳が痛いかもしれないが、そのくらいのお金を捻出できなければ、法人としての責務は果たせないと考えて欲しい・・・。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成22年5月)

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