福島達也理事長コラム
第90号 事務に弱い(疎い?)NPOの特色
 年度末。確定申告や決算作業で皆さんさぞ忙しい日々をお過ごしではないだろうか。

 それにしても、なぜ3月決算が多いのだろうか。もちろん、国家としての行政年度が4月スタートで3月決算だからしょうがないかもしれないが、NPOくらいは決算をそろえなくてもいいはずだが・・・。

 そうなると当然、それに伴う業務も集中する。3月決算の場合、5月末が税務申告の期限で、6月末が所轄庁への事業・決算報告の期限だ。だから総会も5月と6月に集中する。ということで、私たちもその頃が1年で一番忙しいのだが、出席を要請される総会等がバッティングするのもこの時期が一番多い。そういう意味では、できるだけ3月決算にして欲しくないので、設立の時、行政との関わりがない団体には、なるべく3月決算にしないようにアドバイスしている。

 税理士に依頼する場合もその方が時間をかけてもらえるので圧倒的によいだろうと告げている。

 決算が来ると毎年やらなければいけない仕事に資産変更登記がある。これは法務局で申請するのだが、2年に1回の役員変更よりも資産変更登記を忘れる団体は、実に9割にも及ぶ。役員変更登記も5割は忘れている。会社では考えられないことだが、それだけNPOは事務が弱い。
 
 活動がしたくて法人を作ったのだから、そんな面倒くさいことはご免だという団体も多いが、法人の義務だから守って欲しい。

 どうしてNPOは事務が弱いのか。それは、事務専属の職員がほとんどいないからだ。事務専属職員に給料が払えるなら、むしろ会社組織にしているかもしれない。役員報酬も事務職員給料も払わなくて済むのでNPOを選んだ団体もある。

 会社と業務的に垣根がほとんどなくなった現在、それだけ人件費等にお金をかけないなら、会社と競争しても必ず勝てるはずだ。

 そうそう、自治体の仕事を丸ごとNPOに委託したらいくらでできるか試算したことがある。
議会もいらないし、管理職もないから、実に5分の1という試算だった。8割減だ。

 子育て手当の財源で困る民主党も、最後はそこに気がつくかもしれない・・・。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成22年3月)

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