福島達也理事長コラム
第77号 役員専用車が国を滅ばす
 
 わが社の所在地は東京駅に近く、周りは大企業の本社ばかりである。なので、あちこちのビルの周りには黒塗りの役員専用車がところ狭しと並んで、いつ出てくるともわからない役員を待っているのだ。
 
 もちろん、エンジンはかけっぱなし。環境問題が叫ばれている昨今、環境NPOがこの光景を見たら、きっと不買運動でも始めるのではないかと心配してしまう。
 
 環境問題もそうだが、私はむしろ、そういう経費はなぜ削らないのか不思議でならない。毎日のように、正社員も含めた人員削減のニュースが流れ、昨日は3万人。今日は1万2千人。こんなに人員カットしていたら、会社から人がいなくなってしまうのではないかと心配してしまうが、大企業では、まだまだ人は余っているらしい。いつか、派遣労働者やリストラ社員が軍隊でも率いてクーデターを起こすのではないかと心配してしまう。
 
 そうなる前に、役員専用車は必要なのか考えてほしい。1台あたり、運転手も含めて維持費に年間2千万円ほどかかるらしいから、10台で2億円だ。2億あれば、派遣労働者を100人近く雇用できるだろうし、もっと工夫すれば新たなビジネスに投資もできるだろう。もったいないと思うのは私だけだろうか。
 
 そもそも役員専用車というのは、役員の身の危険を守る意味で導入されたものである。戦乱の続く国や交通事故が頻発する後進国と違って、都内などは車がなくても、地下鉄網が充実しており、電車を利用すれば、環境にも優しいし、余分な出費も抑えられる。もちろん、命を狙われるような役員ばかりいるわけでもないだろう。
 
 さらに、役員の定年後が心配だ。役員専用車に乗るような人は、定年後にNPO活動に参加しても、役に立たないただ座って文句を言うだけの老人に過ぎないらしい。そういう声をよく聞く。逆に、役員専用車の廃止を提案するような人は、そのリーダシップや社会性から、おそらくNPOでも活躍できるだろう。
 
 そこで提案だ。派遣切りをする企業には役員専用車を禁止する法案を制定してはどうだろうか?「先ずは隗より始めよ」だ!





特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成21年2月)

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