福島達也理事長コラム
第102号 都道府県庁の不思議
 以前、NPO法人の解散が増えていることは紹介したのだが、最近は認証の取り消しというのも増えているのが気になる。

 もっとも、取消しといってもどこかの財団法人のように「八百長」「暴力」などが原因なのではなく、もっぱら事業報告を提出しない幽霊団体を取り消しているケースがほとんどである。つまり、解散も含めると消極的理由での解散取消が激増しているということなのだ。

 昨年末現在の解散数は全国で約4千2百。取消数が約6百4十。合計すると5千近い団体がドロップアウトした格好だ。NPO法人を10作れば、必ずそのうちの一つはつぶれていることになる。

 設立する前になぜ防げなかったのか。また、設立後にちゃんと努力したのか、本当に疑問が残る。

  疑問と言えば実は意外なところにも。それは所轄庁の温度差だ。さすがに解散はどの県でも多くなっているが、取消しは明らかに偏っている。東京182。大阪115。と聞けば、人口に比例していると思ってしまうが、京都は5。兵庫は8。北陸地区はすべて0だ。決して人口比や団体比でないことは明らかだ。要は、認証取消にしないための努力をしているかどうかの差だろうか。認証取消になると、その役員だった人は他の団体の役員に5年なれない。それほどのペナルティがありながら、わざわざ取消しになる団体はないはずだ。きっときちんと説明して話をすれば、自ら解散する道を選ぶであろう。または、心を入れ替えて復活するはずである。所轄庁には是非そうした取り組みを行って欲しい。

 ただ、所轄庁の職員にこの話をすると意外な答えが・・・。郵便物が届かない。電話がつながらない。全く連絡がつかないのだそうだ。だから、取消し以外に方法はないとのことなのだ。

 確かに東京のNPO法人の住所はバラエティに富んでいる。代表者の自宅などは序の口で、どこかの会社の中。住所貸しの秘書サービス。ビルやマンションなのに地番のみ、など明らかに最初から郵便物が届かないところもたくさんある。

 そこで提案だが、すべての役員の携帯番号を毎年届け出ておくというのはどうだろうか。もちろん、非公開で。携帯電話も届出できない役員がいるとすればそれはきっと幽霊役員のはず。幽霊役員が多いほど解散につながるケースが多いので、これはきっと効果があると思うのだ。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成23年2月)

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