福島達也理事長コラム
第46号 日本と欧米の寄付現状
 先日、世界第2位の富豪とされる米投資家ウォーレン・バフェット氏が、同1位のマイクロソフト会長であるビル・ゲイツ夫妻による慈善財団などに合計で約370億ドル(約4兆3千億円)分の株式を寄付すると発表した。個人資産の約85%にあたるそうだが、もちろんこれは寄付金額の記録としてはおそらく過去最高となるであろう。いわば、世界1、2のお金持ちによる慈善事業のコラボレーションである。あまりにも大きな額にびっくりしてしまう。
 日本人は普通、こういうニュースを見ると「売名行為」とか「何か魂胆がある」と思ってしまうのだが、そうした思惑は一切ないのがアメリカのお金持ちだ。彼らは、常日頃から、慈善事業にお金を使うのは、巨額の富を手に入れたものの義務であると主張している。このあたりが日本人の意識とはあまりにも違うところだ。欧米人の一世帯あたりの寄付金に比べて、日本人の寄付金の何と少ないことか。欧米では貧しい人でも、もっと貧しい人に手を差し伸べようとするが、日本人は多少豊かであっても、もっと上がいるとたかをくくって、まずそうした慈善事業に興味を示さない。そういう国民性なのだろうか。
 今回のこのニュースを日本のIT長者たちはどう受け止めているのだろうか。せめてつめの垢でもせんじて飲んでもらうことはできないだろうか。六本木ヒルズに象徴されるような若いITベンチャー企業の経営者は、まったくといっていいほど慈善活動に興味を示さない。ワールドカップとか万博など宣伝につながるようなものを除いて、法人名がまったく報道されないようなものは、どんなに公益性が高くても、自分たちの私益につながらなければ投資しない。欧米では、法人名を匿名にして寄付をする企業も多いと聞く。日本では考えられないことだ。
 渦中の村上氏は、保釈金として5億円を小切手で払ったそうだが、そのお金を慈善活動に使っていれば、逮捕拘留されるような事態は生じなかったかもしれない。あくまでも私見だが・・・。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年7月)

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