第45号 公益法人制度改革の行方
 ついに5月26日、国会で行政改革推進法などの関連5法案の採決が行われ、与党などの賛成多数で法律が可決成立した。

 この行革関連5法案というのは、行政改革推進法、公益法人制度改革関連3法、公共サービス改革(市場化テスト)法のことで、特に「行政改革推進法」は、小泉内閣の最重要課題に位置づけられ、目的として簡素で効率的な政府の実現を掲げ、公務員総人件費の削減や国民生活金融公庫などの政府系金融機関の統廃合などが盛り込まれている。

 また、「公益法人制度改革関連3法」は、以前から何度もこの欄で書いているように、公益法人制度の見直しについての抜本的な改革で、明治29年の民法制定以来の約110年ぶりに実現することになった。2008年中にも全面施行となる見込みで、5年の期間をかけて移行手続きが行われる。これにより、従来の中間法人や省庁認可の公益法人は廃止され、一般社団法人および一般財団法人が新設され、公益認定等委員会による公益法人制度が始まるのだ。

 さらに、あまり国民の関心ごとになっていないが、実に気になる法律が以前は市場化テストと名づけられていた「公共サービス改革法」だ。これは、国や地方公共団体が提供する公共サービスを見直し、民間の事業者の創意・工夫が反映されることが期待し、官民が競争入札によって公共サービスを奪い合う制度だ。今まで効率などを重視しないでやってきた行政のサービスは、これによって、民間に奪われてしまうかもしれないのだ。官と民が同じ土俵の上で相撲を取れる初めての制度といっても過言ではない。

 これらの法律が成立したことにより、公益とか公共といった概念がガラッと変わるような気がする。公共サービスの質の維持向上や経費削減を目指すことが目的と思われがちだが、その一方、小さな政府と国民の自立が最終的な目的なのではないだろうか。今まさに、何でも行政がやってくれる時代の終焉を迎えようとしているのだ。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年6月)
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