第33号 複雑なNPO税務

 6月、多くのNPO法人の皆様が普段とは違い、あたふたとしているのではないだろうか。3月決算の団体は5月が税務申告で、6月が所轄庁への事業&決算報告の真只中。私たちのセンターも1年で一番忙しい時期であり、毎日沢山の問い合わせや依頼が舞い込む。
 それにしても、NPO法人の決算はなんて複雑で面倒臭いのか、会社の方が簡単な気さえしてしまう。昨年の流山裁判の影響で課税の対象が広がった感があり、税務申告が必要な団体も増えている。税務申告が必要な団体と必要でない団体があることも問題を複雑化させている。一般の人はまだしも、税理士であってもNPOの課税対象事業をわからない場合が多い。私はかつて、問い合わせた税務署の職員からも逆に聞かれたことがあるのだ。それだけ、判断が難しいのかもしれない。課税対象でないと信じ1年間の活動が終わり、税務署に問い合わせて、課税対象事業と言われた団体は特に悲惨で、住民税の減免などもなくなるので、せっかく苦労して得た収益が全てなくなってしまうことも多い。
 このように、NPO法人の税務を複雑にしているのは、設立申請に端を発しているのだ。所轄庁の認証申請の際、特定非営利活動事業とその他の事業に分けるが、それが税金の有無で分けていないことを一般の人に理解させるのは大変だ。税金のことだけ考えれば、課税対象事業と非課税事業に分けるべきだが、それではNPO法の意図から外れてしまう。だったら、すべて無税にして欲しいが、悪徳団体に悪用されると専門家は言う。つまり、NPOの税務の問題は永久に続くのだ。
 現在公益法人改革の論議が進み、この収益事業のあり方を問題視する方向にある。改革とともに、この問題にメスが入ることになるであろう。今までの課税対象列挙方式が、非課税対象列挙方式となり、NPOの多くの事業が課税対象になる方向だ。そうなると、悲鳴を上げるNPOが急増するだろう。今から頭が痛い。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成17年6月)