第26号 若者がボランティアに求めるもの

先日、全国ネットのFM放送に出演する機会があった。内容は「NPOってなーに」というもので、キャスターを務める女性からNPOについての質問が矢継ぎ早に出され、それに答えていくものであった。なぜFM放送なのか? 最初はまったくわからなかったが、始まってしばらくすると、「APバンク」のことが話題に上っているのでやっと気がついた。「APバンク」とはミュージシャンである坂本龍一氏、小林武史氏、櫻井和寿氏が中心となり、NPOや市民による環境保護活動に融資するために設立されたNPOバンクのことだ。
そうなのだ、今若者にとって環境や福祉のボランティア活動は決して「ダサイ」ものではないのだ。坂本さんや桜井さんの影響もそうだが、それだけではなく、若者はボランティア活動を通して何か今まで得られることのなかった「純粋な自分」を求めているのではないだろうか。
人は誰しも人に優しいものなのだ。それを表現することが日本人は最も下手だと思われてきた。しかし、今回の新潟中越地震でもそうだが、そのチャンスが訪れるとまさに水を得た魚のように、パワーがみなぎり、力を結集し始める。新潟には毎日のように老若男女を問わずボランティアが集まってきている。バイト明けの若者。週末を利用するサラリーマンなどなど、本当にそのパワーにはびっくりさせられる。
ただ、それが大きなニュースになっている場合はそうなのだが、自分の身近なところで、そうした声に耳を傾けることはあまり無いように思われる。テレビや新聞で取り上げないところにもたくさんの人がボランティアを待っていることを忘れてはならない。そして、有名な震災などでボランティアをすることが、自分の売り込む材料になってはならない。
震災で被害に遭われた方々に謹んで哀悼の意を表します。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成16年11月)