第17号 地方活性化〜NPOの出番

   最近、「まちづくり」や「まちおこし」をテーマとする講演の依頼が増えています。少し前までは「NPOとは何か?」や「NPO概論」などの入り口部分の講演依頼が圧倒的でしたが、NPOについての理解が市民に広がっている影響もあり、一歩先行く内容が中心となってきました。
 しかし、残念ながら理解の深まりだけがその理由ではないようです。地方経済の衰退はかなり深刻であり、NPOにその起爆剤になってもらいたいと、期待している地域もあるのです。NPOというと、これからの社会をガラッと変える新しい産業のようなイメージがあるのかもしれません。
 確かに、公共事業は行政や市民から嫌われ、今や地方経済の救世主にはなりえない時代になりました。小泉総理大臣は昨年の総選挙で、新たなる雇用の創出として、NPOを始めとするサービス産業に520万人の雇用を約束していました。 さらに、「市民起業家」や「社会起業家」という言葉の浸透とともに、ベンチャービジネスを起業する青年実業家よりも、コミュニティビジネスを地域で展開する社会起業家が徐々に注目を集めるようになって来ました。最近では大学でも社会起業家を目指す学科ができるほどなのです。
 コミュニティビジネスとは、地域経済に雇用やサービスの提供という面で一定の役割を果たし、まちの活性化につなげる仕事です。現代の地方活性化に最も必要なアイテムであり、それを実現する組織としてはNPOがぴったりでしょう。 NPOは今までどちらかというと「福祉」や「環境」などの非営利事業が中心でした。しかし今後、NPOの新たなる使命は、地域経済の活性化なのかもしれません。
 その動きはやがて、合併で消えていく街のコミュニティを、NPOで残そうという動きにつながり、全国的に広がるかもしれません。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成16年2月)

http://www.iva.jp