第12号 管理費〜運用方針(1)

 新しいNPO法になって早4ヶ月が経過した。当センターに法人化を依頼していただいた団体の中でも、新法での認証書が届き始めている。明らかに今までの団体の傾向と違うのは、ITや科学技術などのかなり専門的な団体が法人化し始めたことだ。これまでは専門的、業界的な団体はほとんど社会教育分野で認証を得ていた。しかし、最近はこちらから提案する前に、既に自分の分野を指定してくる場合が多い。経済活動の活性化、職業能力の開発など、自分たちの活動に自信を持って法人化申請に臨んでいる。今までは自分たちがNPO法人に該当するかどうかの質問が多かったが、最近はまさか該当しないはずはないというような勢いである。しかし、所轄庁の姿勢はあくまでも公益優先である。それは内閣府が発表した運用方針が「主たる目的が非営利事業」にこだわっていることからも読み取れる。しかし、非営利が主であることを証明するのはとても難しい。内閣府の運用方針を逆に見ているとそこに隠されているものが見えてくる。例えば、「定款に掲げる目的や事業の種類が具体的かつ明確に記載されている」ということは、抽象的でおおまかな表現では営利性を隠し持っていると疑っていることが分かる。そして一番興味深いのは、「管理費の総支出額に占める割合」を制限していることだ。つまり、管理費は最も非営利的でないということになる。非営利とは管理費の額が少ないことなのか?そもそも非営利とは、「繰越財産や残余財産を構成員で分配しないこと」と定義されているはずだ。しかし、これではあまりにも分かりにくいと感じていた結果、分配の定義の中に新たに「管理費」を仲間に入れたのである。これは実に画期的な暴挙といっても過言ではない。管理費は悪なのか?それとも必要なのか?それをもっとも皮肉に表しているのが「自治体」である。東京都も膨大な給与関係費や管理事務費に悩まされ、他の道府県と同様に厳しい台所事情である。NPOが自治体のように苦しい台所にならないように、親心から「管理費」にメスを入れたのか?それは定かではないが、とりあえずそう思うしかないのかもしれない。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成15年9月)

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