第11号 公益法人改革〜閣議決定

 ついに、公益法人改革が6月27日に閣議決定された。しかし、その内容は全くの玉虫色であり、賛成派からも反対派からも評判の悪いものであった。特に、原則課税については方向性すら示せなかったのが残念でならない。そもそも、今回の改革は、これだけ世間の景気が悪くなっているにもかかわらず、公益法人はぬるま湯の中にいて、税制優遇があり、官僚の天下り先になっている・・・という声に後押しされ、始まったものだ。中には公益法人、特に財団法人はすべて株式会社にすると息巻いていた議員さんもいたはずである。もし仮に非課税が決定したら、誰でも簡単に設立できるのだから、財産隠し団体や暴力団の資金集め団体が続々誕生してしまうではないか。原則課税はどう考えても外せない砦なのだから、ここは勇気を持ってもらいたい。
 それと、公益性を誰が判断するかということもまったく明らかにされなかったのは残念でならない。公益性を認めるために相当高いハードルを越えねばならないというのであれば、今の公益法人制度のほうが良かった事になるし、誰でも簡単に認めてしまうのであれば、先述の懸念が予想される。問題を先送りしただけで、結局また掛け声だけかという声があちこちから聞こえている。
 また、新たな非営利法人は、登記だけで設立できることは決まったが、認証が残るNPO法人と許可が撤廃される公益法人では、立場が逆転するのではないかという疑問も残る。今までに数千という団体が、公益法人を断念して、NPO法人化しているが、もしかしたら今後はNPO法人化をあきらめて、公益法人になるという現象も出てくるのではないだろうか。おかしな話である。
 今、世間はマニフェストが大流行だ。総選挙もそうだが、自民党の総裁選ももうすぐであり、それらがあちこちでもてはやされている。選挙に出る先生方には是非とも、その辺の考え方を述べてもらいたい。そして、NPOや公益法人に対しても、しっかりとした指標を示してもらいたい。全国のNPO関係者の皆さんも、彼らの公約に対してぜひ興味を持ってもらいたいと思う。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成15年8月)

http://www.iva.jp