電子による移行申請はこれでよいのか? | ||
2008年12月27日 | ||
公益総研 非営利法人総合研究所 |
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怒涛の申請ラッシュ! になるはずの12月だったが、意外にも移行申請を提出した団体は少ないようである。 県によっては、まだ一法人も提出していない所がいくつもあるということだから驚きだ。 そんな中、当研究所でコンサルを受けている法人様は、今月5法人が移行申請を行った。 すべて、公益法人になるための移行認定申請であったが、5法人目の申請は、ほぼ最終日という状況だった。 そういう意味では、わが社の関連法人様は怒涛の申請ラッシュであった。 それにしても、電子申請はいったい便利なのか不便なのかよくわからない。 この1カ月で、10回以上もシステムがトラブルで止まり、事前にちゃんと説明していないものだから、法人が入力したデータが消えてなくなるということも日常茶飯事。 せっかく苦労してすべての書類を入力したのに、最後の最後で、全部データが消えてしまったという、笑えないような話も聞いた。 そして、システムの不備や脆弱性が明らかになるや否や、申請が始まってから何度も何度もシステムの変更があった。 普通、開始から数時間、数日でシステムを変更するなどということは考えられない。しかし、今回はこれが当たり前のように行われていた。 もしこれが民間企業だったら、今頃担当者の首はもちろんのこと、社長だって責任をとって・・・・というほどの混乱ぶりだった。 なぜもっと簡単で誰でも使いやすいシステムを作らなかったのだろうか、この2年半はいったい何だったのだろうか。 今回の申請は、電子申請の掛け声だけは早くから掛けていたのに、その姿を現したのも実は申請解禁の直前のであった。 これでは、出す方も受ける方も準備不足なのは当然であろう。 12月に申請を出そうと思っていた法人は、相当苦労したことだろう。 しかし、そういう法人が犠牲になってくれたおかげで、日増しにこのシステムがどんどん使いやすくなっている。 まだ漢字変換がマウスを動かすたびにローマ字に戻るといった、幼稚なミスは直らないものの、動きもきびきびしてきて、これならあともう一息でいいシステムになるであろう。ただし、まだ数カ月はかかるかもしれない。 電子申請は便利のようで意外にも大変だということがわかった。これならむしろ紙で提出したほうが楽なのではないだろうか。 私たちのように電子申請に慣れている人は少ないはずで、慣れていない人の怒りがどのくらいあるのか想像もつかないほどである。 移行申請が少ないというのも、もしかしたら電子申請が原因なのではないだろうか。 それが証拠に、電子申請がほぼ義務付けられているような移行申請と異なり、紙で提出することが基本である「一般法人」の設立申請は順調の様である。 当社でも、すでにこの1ヶ月で7法人の一般法人の設立を行った。 その内訳は、一般社団法人が4団体。一般財団法人が3団体だった。 こちらの方は、順調に推移しそうな勢いが感じられる。 きっと、いつかNPO法人を追いつき追い越す時が来るのではないだろうか。そのくらい元気がある。 こうやって、民間の非営利活動が活発になるとしたら、この法律は大成功だと言える。 しかし、現実は、新しく設立する団体がキラキラ輝いているのに比べると、今まで頑張ってきた公益法人の方々が、苦虫を噛むようなとても厳しくて苦しい移行申請を強いられているような状況だ。 今まで頑張って公益活動を続けてきた貢献度をまったく無視しているようで気の毒でならない。 一部の外郭団体を除いて、多くの公益法人は何も悪いことをしたわけではないし、まったく問題ないのだから、厳しくて苦しい移行申請を強いるのではなく、認定委員等が法人に出向いて、ヒヤリングをして、その結果で公益か一般か決めてあげたらどうだろうか。 「いまさら何を言うのか」と怒られそうだが、政権が変わったら、それも現実になるかもしれない。 誰も、次の政権が今と同じ与党の枠組みで構成されるとは思っていないだろうが、そうなるとこの制度がどうなるかについては考えている人は少ないだろう。 少なくとも今の野党の考え方は、もっと簡便な方法を検討している。もしかしたら、申請方法も変わるかもしれない。 そうなったら、苦労して申請を出した団体は損をし、のんびりしていた団体が得をすることになるかもしれない。 いや、その逆もある。 ヒヤリングの場合は、法人の現状を審査することになるが、将来像で審査する今の方法の方が、化粧をしたり、生まれ変わったりできるので、そのほうがよっぽど認定されやすい・・・という考え方もあるだろう。それだけこの申請は難しいのだ。 法人側だけでなく、認定委員会事務局も相当ハードな仕事をこなしていることだろう。うーん、どうしたものか・・・。 |
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公益総研株式会社 非営利法人総合研究所 | ||
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