◆いじめ問題:「速やかな情報開示を」大津自殺の父親が訴え、川崎のNPO企画の会見で/神奈川 ◆

■全国でいじめ問題がクローズアップされている中、大津市で昨年10月に自殺した市立中学2年の男子生徒=当時(13)=の父親(47)が30日、東京都内で会見し、自殺が起きた際に学校から遺族への速やかな情報開示と一刻も早い問題の解決を訴えた。

 いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市、小森新一郎代表理事)が企画。問題発覚後、男子生徒の父親が公式の記者会見で自らの思いを語るのは初めて。

 大津市の中2男子自殺では、学校が自殺の約1週間後から全校生徒を対象にアンケートを実施。遺族に「部外秘」とする確約書にサインさせた上で結果を一部開示した。市教育委員会の不十分な調査が指摘されたことし7月には市議会委員会で概要が公表された。

 父親は学校や市教委の隠蔽(いんぺい)体質を指摘した上で「アンケート結果をもっと自由に使えれば、もっと早く真相究明に乗り出すことができたはず。いじめを見て見ぬふりしただけでなく、真実を隠そうとした対応には二重の意味で裏切られた」と時折声を詰まらせながら振り返った。

 さらに、昨年9月に鹿児島県出水市で中学2年の少女が自殺した問題でアンケート結果が開示されていない点にも触れ、「いじめをなくすために公表は必要不可欠。隠蔽することが(学校や市教委の)常識であってはいけない」と訴えた。

 ジェントルハートプロジェクト理事で県立高校1年だった娘を自殺で亡くした小森美登里さん(55)=横浜市港南区=は「被害者の安全確保とともに、加害者にも目を向けることがいじめを止めるために最も重要」などと強調。いじめに関する調査内容を学校と親が共有することや、あらゆる調査に当事者や保護者の意見を反映させることなどを引き続き国に求めていく考えを表明した。

 会見に先立ち、男子生徒の父親は文部科学省を訪れ、いじめなどがあった際に学校が実施するアンケートの結果を、今後、速やかに遺族に開示するよう求める要望書を田中真紀子文科相宛てに提出した。

 
神奈川新聞 2012年10月30日‎
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