◆「被害者守ることに比重置いて」相談受けたNPO法人理事長◆


逗子ストーカー事件の被害者女性から相談を受けていたNPO法人「ヒューマニティ」理事長の小早川明子さん(小野淳一撮影)
 三好梨絵さんから相談を受けていたストーカー被害者らを支援するNPO法人「ヒューマニティ」(東京)の小早川明子理事長(53)が産経新聞の取材に応じ、「被害者を守ることに比重を置いて」と訴えた。主な一問一答は次の通り。
 --警察が逮捕状の読み上げの際に、三好さんの結婚後の名前や住所の一部を男に伝えてしまった
 「住所や名前を知られてしまうことは三好さんが最も恐れていたことなので、言語道断。警察の『法律を順守しないといけない』という律義さが裏目に出た結果ともいえるが、頭が硬直化している。そんなことよりも、被害者を守ることのほうが大事。どっちに比重を置いて対応すべきかをよく考え、柔軟に対応してほしかった」
 --三好さんは3月以降に1千件を超えるメールを送りつけられたが、ストーカー規制法の規制対象外だった。どう改善すべきか
 「『メール』という文言だけを規制対象に盛り込んで法改正しても、場当たり的な対策でしかない。これからは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)など次々と新たな手段を使ったストーカー被害が出てくる可能性がある。法改正だけではなく、どのような手段でも、状況でも、被害者を守れる態勢づくりが必要」
 --いまの態勢についてどう考えるか
 「警察はたくさんの仕事を抱えている。そんな中で、被害者は警察に早く取り扱ってもらえるように、証拠集めなどものすごい労力をかけている。ストーカーの相談件数が増える中で、このままでは警察も被害者も疲弊するばかりだ」
--ではどうすればいいのか
 「欧米では、被害者が直接、裁判所に訴えることができ、裁判所が警告を出す。警察は警告に違反した場合に取り締まる。日本では、警察署長らしか警告を出すことができないので、被害者は警察にしか訴えられない。迅速に対応するためには、欧米式を取り入れるなど抜本的な見直しが必要ではないか」

 
産経ニュース 2012年11月13日‎
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