福島達也理事長コラム
第99号 12月は非営利の日
 早いもので今年も12月。残りわずかだ。そして、いつものようにこの月が来ると、非営利業界はお祭りが始まる。

そう、12月1日は特定非営利活動促進法の誕生日。そして、新公益法人制度のスタートの日だ。NPO法は施行してから12年。新公益法人制度は2年。前者はその間大きな動きがあった。法改正は1回だけだったが、中間法人法の誕生と消滅。認定NPO法人制度の誕生と改正の嵐。そして、新公益法人制度の誕生によって、今は設立数が激減状態。月に4百件日本全体で設立された当時とは比べようがないほどである。

 ただ、やはりここにきて見直しの必要は感じる。社団や財団が簡単に設立でき、税制上もNPOと変わらない収益事業課税が選択できる今、なぜNPO法人なのかをもう一度問い直す必要があると思う。一般社団財団よりも設立は面倒くさいが、税制上は変わらない。もっといえば、法人を設立するメリットがとても薄いということだ。そういう意味でも個人寄付の税額控除はまったなしだろう。やっとここにきて、税制改正の動きがあるので、多少は違ってくるかもしれないが、それでもまだまだメリットは少ないと思う。役員の責任が明確になる、銀行口座が作れる、行政の仕事が受けやすくなる・・・などということはもはやNPO法人に限ったことではないのだから、もっと違うメリットが欲しい。ボランティアの参加が増えるとか、活動の場所が優遇されるとか、収入はなかなか見込めなくても支出が抑えられる方が現実的だろう。

  その証拠が解散数に表れている。最近は設立も減っているうえに解散も増えているのだ。この12年で4万3千設立され、そのうち4千百が解散している。認証取消も6百を超える。つまり、9法人設立するとそのうち一つは解散か取消になる公算だ。これはひどすぎる。やはり、現実的なメリットが少ないからだろうか。

 公益法人も、新制度移行期間5年のうち2年が終わったのに、2万4千法人のうち移行申請したのはたったの2千だ。まだ12分の1しか申請をしていない。残り3年で12分の11は申請するだろうか。しなければ強制解散ということになる。こちらは、新しい公益法人にメリットを感じる団体が多くない気がする。事業仕分けの影響もあるようだ。 何だか暗い話しになってしまったが、来年こそ非営利団体の飛躍の年になって欲しい。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成22年12月)

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