福島達也理事長コラム
第97号 認定NPO法人とカラクリ
 先日、非営利法人に関する学会に出席したのだが、その中の議論で大変興味深い話しがあった。

 それは、認定NPO法人の制度を推進するために、これ以上認定要件を緩和させたり、優遇措置を拡大させる必要があるかどうかを検証するという内容だ。

  8月末現在、認定NPO法人は173件と極端に少なく、総数が4万を超える中、わずか0・4%に留まっているのだが、誰もが皆、認定要件が厳しすぎて認定されないのではないかと思っていたはずである。

  しかし、これを調べたグループがあり、過去7回の法律の改正で、実際すべてのNPO法人が申請すれば、現行制度でも2割から3割の法人が認定されるということが判明した。つまり、難しい難しいと思っていただけで、実際は案ずるよりも産むが安し、申請すれば通る団体が多いということなのだ。

 これを聞いてびっくりした。実際私たちも最初から無理だとあきらめていたし、申請する気にもならなかったのだが、それならやってみようという気持ちになるくらいだった。

  ただ、認定NPO法人というのは寄付税制優遇法人なので、寄付を集める手法とやる気がなければ、猫に小判というものだから、認定を受けるにはそれ相当のビジョンがなければならない。

  公益法人と違いNPO法人は、公益事業で利益を出すことができるので、寄付金を思い切り集めてみるのもよいだろう。使い切らなくてもおとがめがないからだ。

 これが公益法人なら大変だ。公益事業の収入は支出を超えてはいけないし、寄付金は基本的には公益事業の収入にカウントされてしまうから、集めれば集めるほど、その使い道をきっちりと決めておかなければならないのだ。間違って残してしまうと、認定を取り消されてしまうシステムだから怖い。

 その点、認定NPO法人の方が制度は柔軟だから、寄付金を集めてそれを原資として公益活動をしている団体は、むしろ公益法人を目指すよりも、認定NPO法人を目指す方がよいかもしれない。

 皆様もチャレンジしてみたらどうだろうか?



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成22年10月)

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