福島達也理事長コラム
第89号 寄付文化は日本に根付くか??
 私も会員になっている日本ファンドレイジング協会は、2月7日、「ファンドレイジング・日本2010」の「大会宣言」として、寄付者が最低限有すると考えられる権利「寄付者の権利宣言2010」を発表した。

 日本社会では、欧米に比べて、寄付文化が根付いていないと言われているが、税制改正等を受けて、寄付者が寄付しやすい土壌が出来つつあるからだ。

 せっかく、寄付しやすくなっても、どうも寄付は嫌だと思ってしまう原因がそこにあるのだ。

 それらを解決するために、寄付者が寄付という行為を通じて、社会にどう参画できるのかについての考え方や、寄付の受け手側の倫理基準について、寄付を行ううえで最低限有すると考えられる権利が必要だった。そうしてこの権利宣言が作られたのだ。

 これにより今後は寄付者の権利を寄付の受け手側が尊重することで、より寄付が進むような相互の信頼関係の構築が可能になるだろう。

 ただ、課題もある。寄付者の期待にこたえられる寄付先がある程度限定されていることだ。

 寄付と言えば「赤十字」や「ユニセフ」というように、NPOでも寄付を受けられる団体は一部に限定されている。

 一部の団体だけを裕福にする制度は必要ない。もっと多くの団体が、寄付を受けて活動を活発にすべきだろう。そのためには、寄付にはある一定の上限を設けるべきではないか。

1団体で何億円も寄付を得ている団体があるにもかかわらず、百円も寄付が集まらない団体が数万とある。これは不公平だ。

 立派なビルに居を構え、役員報酬をたっぷりもらっている大きなNPOよりも、ちゃんとした事務所もなくてみんなボランティアで働いている小回りのきくNPOの方が、まさに現場の声を吸い上げていることがよくある。もちろん無駄はないはずだ。

 「1団体の寄付の受け入れは3千万円まで、それ以上は課税対象」などとすると、末端のNPOまで寄付が行き届く計算だ。

 寄付文化の推進が、どこを切っても出てくるような「金太郎飴NPO」を増長するだけなら、こんなものいらない!!といずれなるであろう。その前に私が警鐘を鳴らしておこう・・・。




特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成22年2月)

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