福島達也理事長コラム
第85号 認定NPO制度が無駄になる前に
 アメリカの株価が史上最高値を更新した日、日本の株価は暴落の一途をたどっている。

 私が予想した通り、いよいよ民主党政権による経済恐慌が始まっているが、政権交代の一役を担ったマスコミは、その動きを必死で隠そうとしているので、今のところ市民がそれを知るすべはない。とても残念で怖い。

 こうした経済恐慌とは裏腹に、NPO業界には全く反対の動きがあり、それが認定NPO法人制度の推進だ。

 この制度が推進されると、それに伴い寄付者が寄付金控除の適用を受けやすくなるので、国に入る税金が減ってしまうのだ。今、政府は埋蔵金探しに躍起となり、補正予算の大幅カットを断行する中、一方で税収の減少をもたらす制度を推進しようとしているのだからおもしろい。

 国税庁は、この制度を積極的にアピールすべく、公式ウェブサイトの中で、「認定NPO法人名簿」「制度の手引」「申請書」を掲載しているが、さらに今回「申請用チェックシート」と「申請書記載のチェックポイント」が追加された。これを利用すると、自分たちが認定されるか簡単にチェックできるだけでなく、申請書が簡単に書けるようになるはずだ。

 8月には新しい認定が8件も増え、一気に100法人を超えたのだが、この国税庁の体制強化により、さらに増えていくことが予感される。さらに、民主党の公約通り、来年から制度がさらによくなる予定なので、NPO団体にとってこれほどの追い風はないだろう。ぜひとも、この制度を活用して、多くの法人が認定されることを願っている。

 ただ心配なのは、日本経済が瀕死の状態になると、寄付する企業や個人が激減する可能性があることだが、そう考えると、ニワトリと卵ではないが、制度を推進する前に経済を立て直すことが先ではないだろうか。

 NPO関係者は経済政策にあまり興味のない人が多いが、認定NPO法人が増えても寄付者が減るようでは全く意味がないということを是非関係者は肝に銘じて欲しい。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成21年10月)

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