福島達也理事長コラム
第72号 伸び悩む認定NPOの申請
 すべてのNPO法人に内閣府から認定NPO法人制度のパンフレットが郵送され、何事なのかと思った法人もあったであろう。

 今年は特定非営利活動促進法が施行してちょうど10周年。それを祝ってということではないだろうが、認定NPO法人制度は今年度も一定の要件緩和等があったのだが、その割になかなか申請が伸び悩んでいる現状を心配して、内閣府も動き出したというわけだ。

 何しろ、7月も8月も1法人も申請を出していないのだ。

 今年4月からの制度の要件改正は、主に3点。かなり踏み込んでいる内容だ。例えば、収入の20%以上が寄付金収入であるという特例の延長。さらに、社員の親族の割合制限の撤廃。そして、一般的な法人が一番恩恵を受けそうなのが、小規模法人の特例の条件緩和だ。

 まあ、これで増えないのであれば、しょうがないと一瞬思えてしまうのだが、意外な盲点が隠されていることをご存知だろうか。

 それは、「実績判定期間」だ。一度認定を受けた団体が更新で辟易している現状を救おうという狙いだったのだが、初回の申請に必要な書類は、過去の存在期間のうち、2事業年度ではなく、最長5事業年となってしまったことだ。

 つまり、設立して3年目であれば、3事業年度分の期間が最初の認定の際の実績判定期間となるのだが、設立7年目なら5年分の書類を用意することになるのだ。

 これでは、申請の負担を軽くするという趣旨が、かえって重くする結果となっている。これは、早急に、最初の申請においての実績判定期間を従来どおり2年に改めるとともに、提出書類の簡素化を一層図らなければ、このまま低空飛行のままであろう。

 このように、矛盾も抱えているので、やっぱり増えていかない。総理大臣もころころ変わる国だから、認定制度もころころ変わってもおかしくないのかもしれないが、ころころ変えるよりも、認定NPO法人制度なんてやめて、すべてのNPO法人に、簡便な寄付優遇税制を適用すればよいのではないか。

 NPO法人に寄付をする個人一人当たり、年間10万円位までは所得控除できるようにすべきではないか。100万とか1億とかは言わないが、一人が10万円近く寄付するようになると、間違いなく社会は変わるであろう。

 そろそろ総選挙なのだろうが、各政党のマニフェストが楽しみだ。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成20年9月)

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