福島達也理事長コラム
第69号 NPOが長続きするための労働環境
 3月決算の多いNPOの総会ラッシュもいよいよ佳境を迎えようとしているが、入梅し、気分的にすぐれない人も多いことだろう。

 ところで、人事院は4月、06年度に1か月以上病欠した国家公務員に関する実態調査の結果を発表したが、驚くことにうつ病などの精神・行動の障害で休んだ人が6割を超え約4千人と、01年度の前回調査と比べ、なんと7割強の大幅増らしい。

 人事院職員福祉課は「1人当たりの仕事量が増え、ストレスを感じる人が多いのではないか」としているが、団塊世代の退職や人件費削減の影響で、最近忙しくなったようだが、民間企業はむしろ不況の影響でバブルのころの驚異的な仕事の山から解放されているところが多い。それでもうつ病は増加の一途をたどっているのだから、仕事量だけが原因ではないことは明白な事実だ。

 さて、NPOの場合はどうだろうか?NPOは、ボランティアが多く、通常の職員が少ないため、あまり労働法規を意識しているところは少ない。だからと言って、法律を無視していいわけがない。通常の雇用関係があれば、労働者として扱わなければならないのだから、週40時間を超えて契約したり最低時給を下回ったりすることは基本的に許されていないのだ。ボランティアであっても労働法規を意識してほしい。

 通常、NPOの理事には雇用保険などの公的保険が十分適用されず、給料も決して高くはない。それでも責任だけは十分に負っているので、考えてみれば労働条件はかなり過酷だ。それでも頑張れるのは、NPO活動は社会的に意義が大きくやりがいがあるからだろう。しかし、それが当たり前だと思っていてはNPOの発展は難しいし、長続きしない。NPOの労働環境が良くなるように、政府も考えてほしいものだ。

 かくいう私も、今年に入って、週40時間をはるかに超え、週100時間が毎週続いている。だから、人に偉そうに言う前に自分からなんとかしなければいけない。

誰か私を、私に対する労働基準法違反で訴えてくれないだろうか・・・。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成20年6月)

国際ボランティア事業団 ホームへ