福島達也理事長コラム
第68号 NPOと新しい公益法人はどちらが得なのか?
 いよいよ、新しい公益法人制度のスタートまで半年ちょっととなった。それに伴い政府から発表される本丸も徐々にベールを脱ぎ始めている。
 
 というのも、法律は2年前、政府令は1年前に出たのだが、肝心の税制とガイドラインがなかなか発表されず、それを待って決断しようという団体が動けなかったのだ。

 しかし、そのガイドラインは4月11日に発表され、税制については、悪名高き暫定税率と一緒に4月30日に可決された。これですべてが明らかになったといってもよいだろう。

 そこで気になるのが、NPOと新しい公益法人はどちらが得なのかといったことだが、これについては当団体のセミナーで徹底的に検証するつもりであるから、ぜひこのセミナーだけは(本音はすべてだが・・・)参加してほしい。

 まず、この制度は、NPOも含めて考えると、一般・公益・NPOと3つの法人格に分かれているが、税制で考えると4つの法人格があると思っていい。その中でどれが一番自分たちに向いているのか検討することになる。NPO法人のほうが向く団体もあるが、一般社団・財団法人と公益社団・財団法人の違いはとても大きいので、その違いをしっかり理解したうえで、自分たちの活動のしやすいほうを選ぶといいだろう。

 ただ名前だけで決めず、メリットデメリットをすべて書き出してみると、その方向性は自ずと決まってくるのだ。ぜひこの機会にもう一度見つめなおしてみてもいいだろう。

 今回の公益法人改革の狙いは、従来の公益法人制度を廃止し、民間非営利活動のすそ野を広げる一方で、無駄な公益法人を廃止し、官僚の天下り先をなくし、税金の無駄遣いをなくすことだったのだが、それはものの見事に裏切られている。

 そして、実際には制度そのものが大きく変わったことから、政府の思惑とは別に、いままで真面目に一生懸命地域で活動してきた団体ほど、制度の複雑な仕組みに四苦八苦しているのが現実である。

 小粒でも頑張って公益活動に励んでいた団体が消えようとしているのも事実だが、そういう団体でもこの制度を逆にばねにして伸びようとしているところもある。知れば知るほど面白い制度だから、ぜひこの機会に研究してほしい。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成20年5月)

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