福島達也理事長コラム
第65号 日本の寄付金制度の現状
  いよいよ十二月から新しい公益法人制度が始まるが、それに伴い、有識者に認められた公益法人への寄付の扱いも、大きく変わることになる。

 アメリカでは寄付金による税控除がNPOへの寄付を促しているが、日本の寄付金の税控除の制度はアメリカほど整ってはいない。日本で個人が寄付をする場合、税控除が受けられるのは寄付をする相手が、国・地方公共団体・特定公益増進法人などに限られているが、今度の制度で、そこに新しい公益法人が加わることになるのだ。

 ところが残念ながら、NPO法人の寄付については税制要綱に入っていない。だから、予算案が通っても、NPO法人に寄付をする個人は、一切税の恩恵を受けることができないままだ。もちろん、そのために国税庁認定NPO法人というものがあるのだが、あまりにも認定申請が難解で、多くの団体は申請すら行おうとしない。

 ただ、法人が寄付を行う場合は、個人が寄付を行う場合と税の優遇措置が大きく異なっており、国等への寄付金以外でも、いわゆる一般寄付金として、税の優遇措置がある。つまり日本では、個人が寄付をするより法人が寄付をすることに関して制度が寛容であるともいえる。

 実際、日本の寄付金支出は、法人による寄付が寄付総額の9割以上を占めているが、それに対しアメリカはたったの5%程度である。アメリカでは寄付といえば個人の寄付なのだ。つまり、日本では寄付制度が悪すぎて、寄付できる状態の人が沢山いるにもかかわらず、そんなことをするのは宗教者や慈悲深い人だけだという印象を与えてしまうのだろう。

 そのあたりのことは今国会では一切論じられていないのがさびしい。民主党も、ガソリン税ばかりに目を向けないで、NPOへの寄付控除にもっと力を入れて欲しいものだ。寄付市場の拡大は、市民社会を揺るがす大きな原動力になると私は信じているのだが・・・。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成20年2月)

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