福島達也理事長コラム
第63号 NPO支援センターの廃止を考える
 行政がNPOを応援することは、協働社会をめざす現代社会の潮流になっているのだが、初めて逆行する動きがあった。それは、NPO支援センターの廃止だ。

 NPOと市民、行政とNPOをつなぐ中間支援組織として、全国にNPOを支援する行政の拠点が増えているが、今回その拠点が閉鎖されることになった。愛媛県が消防学校跡地に開設している「愛媛県NPO支援センター」がそれだ。

 県は、多額の財源不足を穴埋めする一助として、来年この土地の売却を決定した。そして、平成19年度中に支援センターを廃止し、別の場所にも移転しないらしい。

 といっても、県はNPOとの協働方針を打ち出し、積極的にNPOを支援することを強調しているので、後ろ向きという訳でもない。

 ではなぜそうなったのか。それは、同じ市内に松山市の「まつやまNPOサポートセンター」があるからかもしれない。県庁所在地ではよくあることだが、県営の支援センターと市営のそれがすぐ近くにある場合が多い。もちろん、同じような施設は必要ない。しかし、県の場合は、県庁所在地以外の市町村もあるわけで、それらの弱小自治体には支援センターを作る予算がないことが多い。そう考えると、県庁所在地ではなく、なるべくそこから離れたところに作ったらどうだろうか。

 まだまだ、地方の場合は行政がNPOを支援しないと、なかなか独り立ちしなかったり、活動が停滞したりする傾向にある。だから、支援の手を差し伸べることは当然必要だ。

 しかし、だからといってNPO側も行政におんぶに抱っこではいけない。NPOに必要なことは、一本立ちできるだけの資金力とそれを裏付ける企画力をつけることだ。ただ、補助金や寄付金、場所や人材の提供をあてにするだけだったら、NPOなんて必要ないのだ。

 そういう意味では、今後も支援センターの廃止もありえることを肝に銘じながら、できるだけ行政に頼らない自主自立を目指した運営を目指して欲しい。もちろん、それは自分にも言い聞かせているのだが。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成19年12月)

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