福島達也理事長コラム
第62号 「ふるさと納税」と「1%制度」、議論をより活発に
 いよいよ「ふるさと納税」が大詰めを迎えようとしている。

 「ふるさと納税」構想というのは、現在は住民票のあるところへ納めることになっている住民税の一部を、自分の故郷など、別の自治体へ納めるというものだ。まだ、有識者が制度に関する報告書を提出したばかりだが、年末の政府・与党の税制調査会の論議次第では、早ければ来年度から新しい寄付金制度がスタートしそうである。

 ただ、報告書では、「受益と負担の原則」に反することから、住民税を分割して別の自治体へ納めることは困難と結論付けている。

 そして、それに代わるものとして、地方自治体に寄付をした場合に住民税を減額する寄付金制度の創設を提言している。現在でも、自治体への寄付は、個人住民税における所得控除の対象となっているが、10万円以上寄付したらの話だ。これが新しい制度では、控除対象となる寄付の上限は住民税課税額の10%とし、その下限も5千円以上にするべきと主張している。

 実現すると、給与収入が年収700万円の夫婦と子ども2人の標準的世帯の場合、住民税額は29万6000円で、3万7888円までの寄付なら手数料5千円分を差し引いた分が全額控除されることになる。

 そこで心配なのは、NPOへの寄付を目的に、ハンガリーから始まったあの「1%制度」はどうなるかということだ。

 これは住民税の一部を自分で決めたNPOに託す制度なのだが、日本では、市川市で始まったが、まだ採用する自治体は少なく、もっと全国に広げて欲しいと願っていた。ところが、「ふるさと納税」の出現でこの制度もどこかに吹き飛んでしまいそうな勢いだ。

 ぜひ、この「NPOへの1%制度」も「ふるさと納税」とともに、活発に議論して欲しい。そして、1%ではなく、ふるさと納税のように10%くらいになれば、もっともっと市民もNPOに関心を寄せるはずなのだが・・・。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成19年11月)

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