福島達也理事長コラム
第56号 「認定NPO法人」初の認定取消し・・・その理由は?
 先月、ある国税庁認定NPO法人がはじめてその認定を取り消されることになった。「認定NPO法人」とは、NPO法人のうち一定の要件を備えて国税庁長官の「認定」を受けた法人のことで、認定を受ければ、当該法人へ寄附をした個人や、企業などの団体が納める税金が軽減されるなどの寄附優遇が与えられ、なおかつ認定NPO法人の行う収益事業への法人税も軽減されるといった、まさにNPO法人であればのどから手が出るほど欲しい認定のことである。

 それが、過料や改善命令ではなく、いきなり「認定取消」なのだ。誰だってその理由が知りたくなるのだが、官報には、「政令で定める要件を満たさないこととなったと認められる場合その他政令で定める場合に該当するものとして当該認定を取り消した」としか記載がない。

 国税庁認定が取り消されるということは、もちろん前代未聞の大事件のはずが、これでは一体この法人の何が悪かったのか、どこに問題があったのかがまったくわからない。この団体に寄付をしていた団体であれば、どうしてもその理由が知りたいはずであるし、そうでなくても、どんな状態になれば取り消されるのか、NPOに関係のある人だったら誰でも知りたくなる。

 注意や改善命令ではなく、認定取り消しになったということはよっぽどのことである。パブリックサポートの基準を満たさなくなったくらいでは、取り消された後の後遺症を考えると、自ら認定を返上するはずだ。その返上も許さずに取り消すとは相当のことだということがわかる。

 3万のNPO法人のうち、まだ60しかない認定NPO法人なのだから、こうした事実はきちんと説明してもらいたい。そして、今後同じようなことのないよう、認定NPO法人を目指す団体に警鐘を鳴らして欲しい。

 というのは、この制度は、法人の規模が小さければ小さいほど有利な制度で、活動の内容よりも数値をどうクリアすればいいかに力点が置かれ過ぎているからである。だから、どう考えても認定されてしかるべき法人がそのままで、この団体は何をしているの??という団体が認定NPO法人だったりするのだ。公益法人の公益性認定にも第三者機関が誕生することになるのだから、認定NPO法人の審査も第三者機関に任せるべきだと思うのは、私ぐらいだろうか・・・。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成19年5月)

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