福島達也理事長コラム
第55号 時代で変わるNPOの就職状況
 新入社員の着慣れないスーツがほほえましい4月、果たしてNPOには新しい風が吹き込んでいるのだろうか?

 1990年代のバブル崩壊による景気低迷とともに台頭してきたNPO。世間の景気が悪くなると好況になるという変な現象がNPOにはある。実際、NPOの現場にも就職できない就職難民が押し寄せてくるほどであった。

 その長く苦しい経済低成長の時代に終わりを告げ、いよいよ上昇気流の日本経済。就職求人率も軒並みアップとなり、売り手市場とまで言われるようになったのだ。だから、NPOなどという給料や福利厚生でどう考えても企業にかなわないようなところに就職したいという人は当然減っていると思われた。
 しかし、現実にはそうでもない。NPO的な働き方やNPO的な自由度を求めて、仕事を探す若者は決して減っていないのだ。むしろ、そういう若者がたくさんいるのに、NPO側がその受け皿になっていないのが現状だ。

 助成財団のことを悪く言うつもりはないが、どこの助成金も行政の補助金も、使い道として「人件費」特に「管理部門の人件費」には決して使ってはいけないことになっている。つまり、活動の補助であって、人件費の補助ではないのだ。

 これを私なりに言い直すと「ただで使えるボランティアをうまく操って、どこにも真似ができないようなすばらしい活動をしなさい」と言っているような気がしてならない。

 これでは若者の魅力ある就職先には決してならないではないか。

 そこで、ぜひ助成財団や行政の方にお願いしたい。人件費にしか使ってはいけない助成金や補助金を作って欲しい。なぜなら、それがNPO業界の健全な発展を意味するのだから。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成19年4月)

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