福島達也理事長コラム
第49号 NPO法の見直しについて
 昨年NPO法の見直しを検討する「国民生活審議会総合企画部会NPO法人制度検討委員会」が設置され、9月に「特定非営利活動法人制度の見直しに向けて」と題する「中間報告」が公表された。

 この「中間報告」では、主に「法人の業務運営のありかた」と「法人の認証・監督のあり方」について述べられている。運営については、社員総会を重視し、理事や監事の選任なども総会だけに限定する方向で、円滑な法人運営というよりも、社員が自由に提案や意見を述べる機会を確保できるような風土を要求しているような感じだ。もちろんそれは民主主義の原点だが、NPO法人は管理職までもがボランティアで支えられていることが多いのに、これでは、総会が荒れたり、役員のなり手がいなくなったりするのではないかと心配だ。

 また、情報公開の促進と個人情報保護への配慮も盛り込まれているが、むしろそれは、所轄庁が情報をきちっと収集してホームページを充実させ、誰でも簡単に団体の内容がわかるように徹底すべきであろう。あまり法人の自主性に任せると、うまくごまかす団体が出てくる可能性があるからだ。

 「法人の認証・監督のあり方」としては、10人以上必要な会員の数を、5人程度に緩和する方向だが、それでは法人というよりも個人商店のような感じがしてしまう。そんな小規模な団体に法人格を与えても、変更登記や決算処理などの実務にてこずり、結局は所轄庁の督促状が増えるだけである。私は絶対に反対だ。法律立案時点では百人にするはずだったのだから、むしろ20人程度に引き上げたほうがよいのではないか。そんなことよりも、定款変更をもっと簡素化することや休眠法人の早急な認証取り消し、認証要件に活動実績を入れることなどを急ぐべきである。

 さらに、「特定非営利活動法人」という名称についても、「市民参加を基本とした社会貢献活動という特長を分りやすく表す名称に検討」と変更の必要性を示しているが、「市民活動法人」や「社会貢献法人」などにするよりも、ずばり「NPO法人」でよいのではないだろうか。そのほうがよほどすっきりすると思う。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年10月)

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