福島達也理事長コラム
第111号 認定NPO法人って何?
 先日、NPO法人のお客様から大変面白い質問が来た。
 「認定NPO法人の申請を代行してくれると書いてあるが、我々NPO法人は、また申請をしないと認定がなくなってしまうのか?」という質問だ。
 最初は???と思ったが、すぐに気が付いた。
 そうなのだ、一般の人には「認定NPO法人」って、なんの認定かわからないのだ。
 昨年までは「国税庁認定NPO法人」だったから、誰も疑う人はいなかったが、国税庁が手を引いたため、認定NPO法人を認定するのは、NPO法人を認証した同じ行政庁になってしまったから、サー大変。
「認定」と「認証」の違いなんて一般の人にわかるわけがない。正式に言うと、認証と認定の違いは、「認証」は、NPO(民間非営利組織)に法人格を付与する手続きであり、NPO法人は、所轄庁の認証を受けた後、法務局で登記することで成立し、法人名での契約行為ができるようになるのだが、「認定」は、NPO法人のうち、一定の要件を満たすものについて、所轄庁が認定する手続で、認定NPO法人には、寄附金に関する税制優遇などが与えられるのだ。
でも、自分で書いていても混乱するようなこんな名前をなぜ使うのか?? 全く行政というのは相手のことを考えていないとつくづく思ってしまう・・・。
 私が担当大臣なら、「認定NPO法人」なんてやめて、「寄付金優遇NPO法人」とするだろう。うーん、我ながら今回はセンスがいい!
 認定NPO法人というのは、寄付金以外のメリットはほとんどないし、それが欲しくてわざわざ認定を目指すのだから、誰が聞いてもわかるよう、早く「寄付金優遇NPO法人」にすべきだ。
これを読んだ所轄庁の担当者は、すぐに条例に反映させるべく動いてほしい。そうしないと大混乱はこれからあちこちで起こるだろう。
さて、そんな「寄付金優遇NPO法人(本当は認定NPO法人)」だが、なかなか申請は進んでいないらしい。せっかく国税庁ではなく、いつもの行政庁に申請できるようになったのに、なぜ進まないのか?
それは、基準が厳しいからなのである。いや待てよ、仮免許ならぬ「仮認定」という方法を使えば、パブリックサポートテストは省略してとりあえず認定されるはずだが・・・。
実はそうではないのだ。確かに仮認定でパブリックサポートテストは免れるし、3000円×100人寄付というウルトラCも出現したが、それ以外の基準がクリアできないので、認められないNPO法人が続出しているのだ。
それは何かというと、「役員の同一団体制限」と「登記や届け出の期限違反」なのだ。
役員の同一団体制限は次号で詳しく伝えるが、「期限違反」は説明が簡単だ。期限以内に、登記や届出をしていないことだ。
一例をあげると、決算日から3か月以内に事業報告をしない(1日でも遅れる)と、2年間「寄付金優遇(認定)NPO法人の申請ができなくなってしまうのだ。役員変更登記だって遅れているし、資産変更登記はしたことないし・・・そんなNPO法人ばかりだから、「寄付金優遇(認定)NPO法人」はなかなか増えない。本当に全く情けない。
とにかくNPO法人の皆様、登記や届け出は期限内にやるようにしよう!!改心すれば、今から2年後には寄付金優遇(認定)NPO法人にちゃんと申請できるだろう。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成24年11月)

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