福島達也理事長コラム
第110号 臨時収入で震災復興できる??
 先月末(9月30日)でもって、NPO法人の代表者以外の理事の抹消登記の期限が終わった。
 ほとんどすべてのNPO法人は、平成24年4月1日から9月30日までに、今まで登記している代表者以外の理事の抹消登記をしなくてはいけないのだが、私の予想では、80%程度の法人は、この期限までに何も登記をしなかったはずである。
 弊社の会員法人は、99%抹消登記は完了したが、それは稀であって、今まで役員に変更はなかったので役員変更登記をしたことがないという猛者のようなNPO法人も山ほどあるのだ。
 役員は変更がなくても2年に1度、資産総額については毎年必ず登記をしなくてはいけないなどということは、NPO法人を作った時に所轄庁から嫌という程聞かされているはずなのだが、そんなことに従う程NPO法人は「お行儀」はよくない。
 中には、物品販売や受託事業など、課税対象の事業をしていても、税務申告どころか、税務署に一度も行ったことがないという、まさに「モンスターNPO」がいくらでもあるのだ。
お隣の国のことを「盗っ人国家」とか「人まね共和国」などと軽口をたたく人は多いが、法律を平気で無視するNPO法人だって「モンスターNPO」どころか「盗っ人NPO」と言われてもしょうがないような気がするのだ。
 そんな「モンスターNPO」を今まで野放しにしてきた所轄庁だが、どうやら今回ばかりはそうはいかないらしい。
震災の影響もあり、かなりお金がひっ迫している国家財政の切り札は「消費税」ではなく「NPOからの罰金」かもしれない。だって、消費税は次の内閣に幼稚な政党が入る可能性が高いので、「消費税」が棚上げになるかもしれないが、NPO法の改正は、国会では全会一致で決まり、すでに4月1日から施行されているから、今さらやめられない。ということは、9月30日までに抹消登記をしない法人に嵐のように裁判所から過料決定通知が舞い込むことになるであろう。
この過料は1法人あたり1万円程度だろう。4万法人のうちの約8割近くが過料の対象となるだろうから、約3万法人に1万円が科せられると、3億円だ。さらに、今まで役員変更を一度もしていない法人にも累積で過料は科せられるから、そっちは平均して3万円くらいだろうから、2万法人が忘れているとして、6億円。資産変更まで手を入れたら、1法人平均5回で5万円過料なら、3万法人で15億円だ。
ということで、今回の法改正で、国は20億から30億円の臨時収入が舞い込むのである。まあ、震災復興は何百兆円もかかるわけだから、全く焼け石に水だが、それでも、少しは足しになるであろう。
ボランティアで復興支援しているNPO法人はとても多いが、まさか自分たちの過料が復興に役立つとは思わなかっただろう。とても恥ずかしい。
笑われないうちに早く変更登記をしてほしい・・・。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成24年10月)

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