福島達也理事長コラム
第47号 どうなるNPO法改正
 先日、朝日新聞に「NPO法人の名前消える?」という記事が大きく報道された。現在内閣府の国民生活審議会の検討委員会で、NPO法の改正案が議論されているのだが、「本当になくなるのですか?」という問い合わせが数人から寄せられ、NPO法人の関係者に波紋が広がっているようである。
 しかし、ご安心を。そもそも「NPO法人」という名称は存在しない。あくまでも正式名称は「特定非営利活動法人」であって、「NPO法人」は通称である。確かに「特定非営利活動法人」という法人格名は、新しい公益法人の名称である「一般社団法人」や「公益財団法人」などとの違いがはっきりしないので、「市民活動法人」や「社会貢献法人」にすべきと思う。だからといって、多くの市民に親しまれている「NPO法人」をなくす必要はない。むしろ正式な法人格を「NPO法人」にすべきかもしれない。
 そして、もうひとつ、法律改正の際に直してもらいたいことがある。それは「社員」という言葉をなくして欲しいのだ。そもそもNPO法人は、社団法人を真似して作った法人格であるため、「社員」という言葉も「社団の構成員」から来ている。NPO法では「社員」が最低10人必要であり、社員総会が最高決議機関となっているが、一般市民には「社員」と「職員」と「会員」の違いがはっきりしない人たちが多い。10人も職員を雇わなければならないのかと勘違いしていたり、会員と社員はまったく別の組織だと思っていたりする。総会で議決権のある会員が「社員」であって、職員とはまったく違うのだと説明しても、言葉のイメージから納得いかないようである。できれば、「総会構成員」とか「支援員」「推進員」などにしたらどうだろうか。そうすれば、給料をもらう人たちではなく、会費を払って法人を応援する人たちだということがわかるであろう。
 さらに、サービスの利用者が「会員」だと思っている人たちも多く、「会費」を「利用料」と勘違いしていたりする。それでは会費が非課税になっている意味がないのだが、やはり一般市民には、NPO法人の「会員」とスポーツジムの「会員」はまったく別の性質だということがわからないのだ。本当にややこしい法律である。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年8月)

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