第44号 東京都の新たな取り組み
 内閣府に続き、東京都でもNPO法人に対する、市民からの苦情や疑問に関する情報公開をホームページ上で行うことになった。
 これは、特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として昨年定めた「NPO法の運用方針」に則ったものだが、本年やっと現実的にスタートすることになったのだ。
 都道府県で最も多く認証を出している東京都だが、他の都道府県が不適格な団体の認証を取り消しする中、東京都はまだ一つも取り消していなかった。しかし、これからは、おかしなNPO法人を「健全な公益という土俵」から除いていこうという方針のようで、実に意気込みが感じられる。
 東京都のNPO法人向けのホームページを見ると、最初に出てくるのが、この「市民への説明要請」。だから、市民による選択と厳しい監視機能が、今後本格的に行われるのは間違いない。
 すでにホームページ上で見ると、3月に2団体、4月に3団体の認証を取り消している。これらはすべて、事業報告を3年間提出していなかった、いわゆる休眠法人なのだが、今後は活動していても問題の多い団体をどんどん取り消してもらいたい。
 ここまでしなければいけないのかという声も聞かれるが、私はこれを大いに評価したい。なぜなら、NPO法人は、あまりにもいい加減な団体が多いからである。登記や届出どころか、総会も、理事会も、中には活動もまったくしていない団体がどれほど多いことか。全体の約半分が動いていないということは、いまや専門家の間だけでなく、一般の人にも知られている事実だ。動いていても、ガバナンスがきちんとしていない団体もかなり多い。
 活動のことばかり考えていてはダメなのだ。まず法人運営のイロハを熟知すること。関連する法律や規則を嫌がらずに勉強すること。そして、様々な情報に耳を傾けていくことが必要だ。
 公益法人改革で許認可がなくなる公益法人とは裏腹に、NPO法人は、認証を得て活動する唯一の公益目的法人になるのだから、是非とも市民から苦情が出ないような活動を心がけてもらいたい。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成18年5月)
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