第39号 耐震強度偽造問題にみる民営化の課題
 今世間を騒がせている問題のひとつに、マンション等の耐震強度偽造問題があるのは周知の事実だが、このニュースを見てあれっと思った人もいたのではないか。それは、あれだけの大きな建物の建築確認を民間の指定確認検査機関が行っていたという事実だ。
 もし間違えば大災害を引き起こすかもしれないような重要な検査という仕事を、民間企業が行っていることを皆さんは知っていただろうか。
 もちろん、今回の事件は、あのお騒がせな建築士が悪い。しかし、偽造を見逃した背景には、民間の検査機関がずさんな審査態勢で臨んでいたことも紛れもない事実だ。
 私が危惧しているのは、今回の問題で「やっぱり民間はだめだ」と思った人が多かったのではないかということだ。
 実は、私は以前から、NPO法人の認証こそ、お役所ではなく、民間の第三者機関が行うべきだと主張してきたのだ。お役所に認められなければ、法人としての活動ができないというのはおかしい。しかも、法人になっても一向に活動しないでいる団体が後を絶たないのは、実行力や実現性などを審査していないことによるものだと思っている。それよりも、民間の目で「活動が公益的か」、「実現性があるか」、「成功できるか」、「人々の役に立つか」を認定するべきだと思っているのだ。そうした意味でも、今回の事件はとても残念だった。
 「民間機関はだめだ」ではなく、さすがは民間機関だと言われるよう、私たちも襟を正して、国民の信頼を得るために何をすべきかもう一度考えてみたい。  
 民間で初めて、日本で初めて、NPO法人の設立や変更の手続きを代行する専門の支援組織を設立してから7年がたった。NPO法の施行からも7年。私たちのやるべきことは、まだまだたくさんある。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成17年12月)

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