第32号 公益法人改革とNPO

いよいよ公益法人改革の最後の砦、税制についての検討が税制調査会で始まった。六月の中間報告を経て十二月までには最終報告を出すとのことだが、この非営利法人課税ワーキンググループ合同会議の結果次第で、今後の公益法人、いやNPO法人の姿も決まってくるわけだからまったく目が離せない。
 そもそも、公益法人はなぜNPO法人と一緒にならずに中間法人と一緒になるのか。誰が考えてもおかしな話だ。通常であれば、公益に関する活動は財団法人と社団法人、それにNPO法人が行っているわけで、中間法人は共益活動である。ということは、「公益」という名前までがなくなるのか。いまのところ名称は「非営利法人」が有力らしいのだが、NPO法人が「特定非営利活動法人」であるから、なんとも紛らわしい名前である。誰でも簡便に設立できるのだから「簡便法人」とか「無認可法人」などのほうがずっとわかりやすい。しかし、それでは、公益法人側からお叱りを受けそうである。
 いずれにせよ、「新非営利法人」は登記だけで設立でき、まったくの無認可のわけだから、認証の上に成り立つNPO法人が唯一の公益法人になるということは間違いない。しかし、無認可のはずの「新非営利法人」に公益性があるかないかを第三者機関が認定するというのだからややこしい。その機関は大臣又は都道府県の下に置かれる、有識者などが作る八条委員会なのだという。それはいったい、いままでの許認可とどこが違うのか。そのあたりが重要なポイントになるであろう。その機関に官僚の天下りがまったく含まれない保障はあるのだろうか。公益性が認められると、寄付に対する優遇税制が有る程度認められる方向だが、NPO法人の税制とさほど変わらないようだ。そうなるとなぜNPO法人だけが別枠に収まっているのか。またしても疑問だ。
 郵政民営化の後に残った、大きな改革なのだからその分大きな成果を期待したい。いまのところ、まったくそれがわからない?だらけの改革になっている。専門家泣かせの改革だ。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成17年5月)