第20号 電子政府の幕開け

    いよいよ電子政府の幕開けである。内閣府ではこの4月から、NPOに関する申請手続きがインターネットを利用して行うことができるようになったのだ。これだけ聞けば、なんとも簡単になったものだと、喜ばしいニュースと伝わるだろう。しかし、実際はどうだろうか。
私は2つの点で大きな疑問を感じている。まず1つは、この電子申請を境に、内閣府ではお客様への事前相談をやめてしまったことだ。NPO法人の設立を検討している人たちというのは、もっぱら申請や登記などを苦手とする人が多い。いくら手引書があっても、雛形があっても、それを利用して完璧な申請書を作ることができる人はほとんど皆無である。何かしら指導をしないと所轄庁に受け取ってもらう書類は作れないのだ。にもかかわらず、そうした事前指導を行わないというのは、それだけ我々のような中間支援団体に比重がかかってくる可能性を意味する。しかし、NPOに関する教育はできても、申請に関してきちんとした指導ができる中間支援団体はほとんどないといってもいいだろう。実際、申請書のチェックまでしているところは非常に少ない。今後は、中間支援団体に、より実務的な面の研究が要求されるであろう。
2つ目の疑問は、都道府県庁が電子申請に追随するかという点だ。内閣府ばかり便利になっても、多くの団体は都道府県が所轄庁である。今後都道府県も一斉に電子申請化を進めないと、所轄庁によって申請方法に差が出ることになる。隣の県は電子申請だから、隣の県に事務所を置いて申請しようという団体はまさか出ないと思うが、しかし、冗談とばかりは言い切れない。都道府県の担当者に聞くと、うちは予算がなくてなかなか・・・という返事が多いが、都道府県によって申請方法が大きく異なることは、申請者に混乱を与えることにもなるだろう。一刻も早くこのことについて、全国統一の方法に整備してほしい。



特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成16年5月)

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