第13号 管理費〜運用方針(2)

 前号に引き続き「管理費の総支出額に占める割合」を制限していることを取り上げたい。内閣府は、本年の法改正と同時に示した運用方針の中で、事務人件費や家賃などの管理費ばかりにお金を使っている団体はNPOではないという判断を下したわけだが、NPOの実情が分かっていないと感じる。なぜなら昨年NHKスペシャルで取り上げていた,難病の子供をディズニーランドに連れて行く「ギブキッズザワールド」というアメリカのNPOは果たして日本の基準に当てはめるとどうなるだろうか。スタッフや食料などをすべて寄付でまかなっているこの団体は、ほとんど管理費にしかお金を使わない。ディズニーランドも無料で入場が許可されている。こういう寄付や好意で成り立っている団体は日本の基準ではNPO法人にはなれないことになる。しかし、儲けの道具にしようと考えている団体も確かに存在する。自分の会社にメリットをもたらすことが目的で,別にNPO法人を作るという人たちは依然として多く存在する。こうした団体を根絶させようと無理やり基準にはめ込もうとした結果、おかしな基準が出来上がってしまうのだ。基準ではなく活動の中身を見て欲しい。私は、NPO法人に書類だけの認証制をなくし、活動そのものの審査にすべきと主張したい。そのためには公平中立な第三者機関において、NPOがプレゼンテーションを行うというのはどうだろうか。もちろん、審査員にはNPOの理論家は要らない。なぜならNPOの発展を最も妨げているのが実はそのNPOの理論家たちだからだ。古きよき時代のNPOを追い求めている人たちが結局NPOを堕落させているのだ。審査員には経済や金融の専門家、そしてベンチャーキャピタルや経営コンサルタントなどがふさわしい。彼らはきっと「管理費」などには目もくれないだろう。
 政府は今後サービス産業を中心に6百万人の雇用創出に動き出す。そのほとんどはNPOでできる業務内容だ。NPOは、もはや市民社会の担い手であると同時に、経済社会の担い手になることも求められているのだ。


特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成15年10月)

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