第8号 NPO法改正施行(2)

 いよいよ、新しいNPO法が施行された。これを待っていましたとばかりに、施行初日にあわせて、当センターでは内閣府に1件、東京都に2件の申請を行った。いずれも追加された5分野を事業目的とする団体である。やはりそうなのだ。「分野の拡大は分野の明確化を意味する」と考えている所轄庁の思惑とは裏腹に、一般市民にとってはビジネスチャンスの拡大、非営利範囲の拡大と感じてしまうのである。しかも、今回の法改正で見逃せない点は、今まで企業を主な対象としていた事業は、非営利事業ではなく収益事業になっていたのであるが、新法では例えば「経済活動の活性化」の分野で、ベンチャー企業や起業を対象にした活性化支援活動は、非営利活動と解釈されることになったのだ。初めて「企業」という言葉が非営利活動で使われることになったわけだ。これを勘違いして、企業の活動はすべて非営利だと考える「困った人たち」もこれから続々登場するであろう。わたしはこれを特に懸念している。法改正と同時にNPO法の運用方針も適用されたが、あれではまだまだ不透明すぎる。企業とNPOをしっかりと選別できる基準作りが必要であろう。我々は今後、この基準作りを積極的に進めていきたい。
 法改正を悪用する団体が出てこないのを祈るとともに、そうした団体を所轄庁がどう説得し、断念させるか見ものである。所轄庁の担当職員にとっては、新たな悩みを抱えることになる。NPO業界の発展のために、ここはぜひがんばって欲しい。

特定非営利活動法人 国際ボランティア事業団
理事長 福島 達也
(平成15年5月)

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